中国は今回の首脳会談に先立って、活発な外交活動を繰り広げた。
相次いで北京を訪れたイギリス、フランス、ドイツ、カナダなどの首脳と習近平国家主席が会談。イラン戦争をめぐっては、王毅外相が中東各国を歴訪したほか、イランのアラグチ外相を北京に招き、王毅外相との会談でアメリカへの対応策を話し合った。
一連の外交の目的は、アメリカの影響力の低下を確認することだ。アメリカは国際政治の分野では、国連憲章に明確に反するイランへの先制攻撃に踏み切ったことから、国際社会の信用を失った。トランプ大統領の関税政策や国連の関係機関からの離脱も、各国の失望を招いている。
中国はアメリカの影響力の低下を確認していた
安全保障面では、当初は短期間で決着させるつもりだったイラン戦争が長引き、多くの艦船の中東方面への展開やミサイルの消耗などで、東アジアのアメリカ軍の抑止力は著しく低下している。
経済面でアメリカは、イラン戦争によるガソリン価格の高騰など物価高が止まらず、庶民の不満が募っている。イラン戦争による戦費調達で財政悪化の懸念も強まっている。11月の中間選挙を控えて、トランプ氏は政権の実績づくりのためにも、アメリカ産の大豆やトウモロコシの輸出やボーイング社の航空機の購入を中国に陳情する立場となっている。
こうしたアメリカの「弱み」に付け込む形で、中国側が突き付けたのが台湾問題だ。アメリカは従来、台湾の独立について「支持しない」との立場を取ってきた。中国としては、さらに踏み込んで「反対する」「認めない」という見解を引き出し、台湾の孤立を図りたいのが本音だ。
首脳会談でトランプ氏は台湾問題でこれまでの立場を大きく変更することはなかったが、中国側は今回の会談をきっかけに、台湾問題でさらに攻勢を強めていくだろう。
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【台中発言の余波を無視する高市首相】
