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「いつ大きな事故が起きてもおかしくない」奈良メガソーラー3度の土砂流出で住民がついに刑事告発

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奈良県平群町のメガソーラー造成・建設現場(写真:平群のメガソーラーを考える会、2025年6月撮影)
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なぜ「直罰方式」で罰則を新設したのか。林野庁の林地開発許可制度担当は、改正法施行を前にした2月、次のように話した。

「開発工事をしている最中に大雨などがあれば、下流に被害が及んでしまうので、先に待ち受け(土砂災害を防ぐ施設のこと)から作りなさい、というのが防災施設の先行設置という条件。太陽光発電の開発で多いのが、早く発電をしたいので、先に本体工事を始めてしまう。その最中に大雨が降ってきちゃって下流に土砂が流出して周辺道路とか水田に被害を及ぼした例がままあります」

「事業者さんたちは、指摘をすると是正をするんですけど、これまでの法律では罰則規定がなかった。また、行政側が命令を出すには期間が必要で、その間に物事が動いて行ってしまう。さらなる災害の発生を抑止するために、許可条件に違反した時点で罰則を科せるように、直罰規定にしました」

平群町のメガソーラーの場合、2019年11月に奈良県が林地開発許可を出し、その後許可申請の内容に誤りが見つかったことなどから事業者側が変更申請を出して、2023年2月、奈良県は改めて林地開発許可を下ろした。許可条件に「沈砂池・調整池などの防災施設の設置先行」が含まれている。この許可条件違反についての解明は、告発状が受理された後、進められる。

奈良県が行った林地開発許可は正しかったのか

平群町の住民による刑事告発が問うたのは、奈良県が下ろした林地開発許可の許可条件に事業者が違反したかどうかだった。一方、住民らは奈良県が下ろした林地開発許可そのものを問題視し、2023年8月、許可の取り消しを求める訴訟を起こした。2025年3月、奈良地裁は住民の訴えを退け、住民側が控訴。大阪高裁での控訴審は今年2月に結審し、6月18日に判決が言い渡される。

原告住民弁護団の室谷悠子弁護士は「いつ大きな事故が起きてもおかしくないと住民は危機意識を持っている。奈良県には、生命に危険が及ぶ状態から回復するよう事業者を指導し、命令を出す権限があるのに、どうしてそれが速やかに行われないのか疑問にかられつつ、事業者側を刑事告発するに至りました。控訴審判決は県の姿勢を正すものとなるよう願っています」と話している。

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