実際にそういう男性は、どこかに存在するかもしれない。だが最大の問題は、“その条件をすべて満たした男性から、自分が選ばれるのか”ということだ。
あるとき、相談所が紹介した男性がいた。41歳の大手企業勤務。年収も高く、穏やかな性格で、会話も丁寧。筆者から見たら、高スペックがそろった婚活市場では人気の男性だった。
お見合い後、男性側からは「ぜひまた会いたい」と返事が来た。ところが、みなみは首を横に振った。
「いい人なんですけど、私が好きになるタイプではなかったんです」
ほかのお見合いをしても、「スーツがヨレヨレで、着こなしが洗練されていなかった」「話し方が上司と話しているみたいだった」「年収は高いけれど、少し髪が薄い」「優しいけれど、恋愛感情が持てない」と、次々に相手の欠点をあげつらっていく。
そうして、3年が過ぎた。
結婚はオーディションか?
婚活では、「もっといい人がいるかもしれない」という感覚に陥りやすい。特に、多くの人と出会える環境にいると、“比較”が止まらなくなる。だが、結婚はオーディションではない。
さらに婚活市場での結婚は、ある意味で“需要と供給”の世界だ。“選ぶこと”と、“選ばれること”がイコールにならなければ成立しないのである。
婚活が長引く人ほど、「自分が選ぶ」という視点だけが強くなり、「相手から見た自分」という視点が抜け落ちていく。みなみは、そこを改めなければ、このまま婚活迷子を続けていくだろう。
恋愛は感情で進められても、結婚は日々の生活。現実とのすり合わせだ。
婚活に必要なのは、「条件に合う人を探す力」だけではない。「自分はどんな相手となら幸せになれるのか」を、現実的に見つめ直す力を養うことなのである。
