婚活アプリが当たり前の時代になった。「友人がアプリ婚した」という話も聞くようになった。筆者のところに入会面談に来る女性たちの中にも、アプリ経験者は多い。
だが、その一方で、“恋愛慣れした男性”に翻弄され、傷ついて相談所にたどり着く女性もいる。きょうこ(31歳・仮名)も、その1人だった。
地方出身の彼女は大学進学を機に上京し、現在は都内のメーカーに勤務している。一人暮らしをしながら、真面目に仕事を続けてきた。
20代は仕事が面白く、気づけば30歳を過ぎていた。その頃から状況が変わってきた。結婚する友人たちが出てきたし、なかには出産した友達もいた。結婚を急に現実的な問題として捉えるようになった。
そんな31歳のある日、高校時代に親しかったしげみ(31歳・仮名)から、「結婚することになった」と連絡が入った。出会いは婚活アプリだという。それを聞き、きょうこも同じアプリに登録することにした。
彼だけはまったく違った
登録当初にマッチングした男性たちは、正直がっかりすることが多かった。実際に会うと写真よりかなり老けて見える人。初対面なのに安い居酒屋で完全割り勘の人。女性とのコミュニケーションに慣れておらず、会話が成り立たない人……。現実の厳しさを思い知らされた。
ところが、4人目に会ったかずや(32歳・仮名)は、まったく違った。
待ち合わせの時点からスマートだった。案内されたのは、夜景が一望できる洗練されたレストラン。店に入ると、店長らしき男性が「いらっしゃいませ。お席、ご用意しております」と慣れた様子で迎えてくれた。
彼は自然にエスコートし、席につくと名刺を差し出した。そこには、誰もが知る超大手企業の社名が書かれていた。
名刺の会社に勤めていれば、32歳で年収は1000万円近いはずだ。ワインの選び方も、店員とのやり取りも慣れていて、きょうこは一気に心を奪われた。
食事のあと、夜風に当たりながら公園を散歩した。そのとき、彼がこう言った。
「アプリでこんな素敵な子に会えたの、初めてだよ。また会いたいな」
きょうこも、同じ気持ちだった。アルコールの酔いもあり、見つめ合った流れで自然にキスをした。
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【「自分が選ばれるのか」問題】
