もっとも、正式な自動車メーカーに昇格してからも、アルピナのクルマ作りはあくまでもBMW車をベースとしたもので、そこに特別なエンジンやサスペンションを装備。内装はオリジナルのBMWより質の高い素材を用いて高級感を打ち出すとともに、外装には鎖模様をモチーフにしたユニークなストライプや大径の20本スポークホイールをあしらうことで「アルピナらしさ」を控えめにアピールするスタイルを守り続けた。
ただし、その乗り味は「モータースポーツ発祥のチューニングメーカー」というイメージからはかけ離れたものだった。
アルピナのクルマ作り
まず、エンジンはパワフルでレスポンスも良好なのに、回転フィールは滑らかでエンジン音も静か。また、サスペンションはしなやかにストロークして乗り心地も良好なのに、ワインディングロードでは小気味いいハンドリングと優れたコーナリング性能を発揮するというもの。
つまり、走りとしてはレスポンスが良好で一体感が強いものなのに、快適性が損なわれていないどころか、むしろベースになったBMW車よりも心地いい乗り味が楽しめる点に、アルピナの最大の特長はあった。
そうした、スポーティーでありながら上質で洗練されたクルマ作りは、とりわけ日本のコニサー(目利きのこと。コノシュアとも)の間で評判となり、自動車メディアが積極に取り上げたこともあって日本はお膝元のドイツ、大市場の北米に次ぐ「3番目のマーケット」としての地位を確立。アルピナ全体の年間生産台数がわずか1700台だったうちの、実に300台ほどが我が国に輸入されるほどの好評を博した。
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【2022年、BMWによってアルピナが買収される】
