けれど、順番は逆です。解決策より、問題の定義。誰の、どんな「困った」なのか――。それを具体的に言語化できたとき、初めて意味のある解決策が生まれます。
問題の出発点は、当事者の「困った」です。周囲がどう評価するかではなく、その人が本当に困っているかどうか――。そこにしか、仕事の芽はありません。
「困った」が解消されると、人は安心します。その変化に対して、人は対価を支払います。それが、価値です。ゼロから仕事を生むとは、新しい答えを出すことではなく、まだ曖昧な「困った」に輪郭を与えることなのです。
「答え」を出す前に「問い」を決める
じつは、「困った」には、大きく2つの種類があります。
1つは、自分の「困った」です。日常の中で不便に感じていること。どうしても納得できないこと。何度もぶつかっている壁。そこには、自分だからこそ気づくことができる問題があります。
もう1つは、他人の「困った」です。家族や友人、クライアントが口にする不満や悩み。何気ない会話の中に、あなたの「ない」仕事の種は隠れています。大切なのは、ちゃんと人々の声を聞くことです。
「今、何に困っていますか?」
「どんなときに不便を感じますか?」
その問いを投げかけるだけで、問題の全体像が見えてきます。問題は、そういった真摯な観察の中から見つかります。
人は、問題を見つけたら、すぐに解決策を見つけたくなりますが、ここでも順番が大切です。まずは、問題をどのように定義するかを丁寧に考えましょう。
例えば、「売り上げが上がらない」と悩んでいたカフェの店主がいました。よく話を聞くと、問題は売り上げそのものではなく、「常連客はいるのに新規のお客が入らない」ことだったのです。
さらに深掘りすると、入り口が暗く、外から見て何のお店かわからない。だから、入る理由が生まれていませんでした。そこで看板と外観の見せ方を整えただけで、新規のお客が増え、結果として売り上げも伸びました。
解決したのは売り上げではなく、"見え方"という入り口の問題だったのです。だからこそ、定義が変われば、それから打つべき手も変わります。それを見極める力が、仕事の質を決めます。
