亡くなるのは圧倒的に男性で、男性と女性の割合は9:1といわれています。私はこれまでに5000体以上のご遺体を解剖してきましたが、ポックリ病の方は全員男性で、女性は1人もいません。
親族にポックリ病の人がいたら要注意
残念ながら、ポックリ病にはこれといった明確な予防策がありません。
ただ、遺伝的要素が関与している可能性が高いことが知られています。親族にポックリ病で亡くなった方がいる場合は、20代のうちから少なくとも年1回の心電図検査を受けるべきです。
近年は研究が進み、ポックリ病で亡くなった方が生前の心電図検査で特定の波形を示していた人が多いことがわかってきています。
健康診断では、34歳以下と36~39歳は心電図検査が実施の項目ではないため、親族にポックリ病で亡くなった方がいる人、健康診断で心電図異常を指摘されたことがある人は、かかりつけ医に相談して年1回の検査を受けてください。
重要なのは、1回こっきりではなく「毎年受ける」ことです。医師に5年分ぐらいの波形の変化をみてもらうことで、特発性不整脈を生じさせるQT延長症候群、ブルガダ症候群、WPW症候群などを見つけて、必要であれば植込み型除細動器を留置するなどの治療にもつなげることができます。
あたりまえの話になりますが、働き過ぎを見直して規則正しい生活を送ることも心がけましょう。ポックリ病のリスクを減らしてくれるかもしれません。
ポックリ病で亡くなったご遺体の中には、非アルコール性の脂肪肝を有している人が少なくありません。脂肪肝で、生前に肥満や高血圧、脂質異常症などのいわゆる「メタボ」を指摘されていた人もいました。
脂肪肝とポックリ病の医学的関連性はいまのところ不明です。しかし、脂肪肝は不規則な生活で食生活が乱れていた可能性を示しています。また、脂肪肝がポックリ病のリスクを高める可能性も指摘されています。規則正しく生活するに越したことはないでしょう。
アクティブモードからリラックスモードに切り替わる休日前夜にポックリ病が起きやすいことをふまえて、急激に生活リズムを変えることも避けてください。久しぶりの休みだからといって夜更かしや不摂生をすると自律神経のリズムが乱れます。
リスクのある人は年1回の検査を受け、働き過ぎはなるべく避けて、規則正しい生活を送る。それがポックリ病で突然死するリスクを下げてくれるのではないかと私は考えています。
