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「エプスタイン事件」解明のカギを握る…1冊の黒い手帳が思い起こさせる、松本清張が描いた《昭和の傑作サスペンス》

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エプスタインが遺した「ブラックブック」が思い起こさせる昭和の名作とは(写真:tetsuro125/PIXTA)
  • 小林 雅一 KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授

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1000人以上の世界的な権力者・著名人らの氏名、電話番号、メール・アドレスなどが記載された、「世界で最も強力な闇の連絡先リスト」ともいえる1冊の手帳――。いわゆる「エプスタイン事件」解明のカギを握る、この「ブラックブック」の存在を知ったKDDI総合研究所リサーチフェローの小林雅一氏は、遠い昔に読んだ松本清張の『黒革の手帖』のことを、ふと思い出したと言います。
アメリカを中心に世界を巻き込んだ「エプスタイン事件」と、昭和の日本で描かれた『黒革の手帖』。小林氏がこの両者に感じた類似点とはどんなものなのでしょうか。小林氏の著書『エプスタイン文書の衝撃』から一部を抜粋・編集する形でお届けします。

『黒革の手帖』とエプスタイン事件の類似点

人の心理や行動パターンに国境はほぼ存在しない。米国を中心に世界を巻き込んだエプスタイン事件を調査しながら、ふと思い出したのは遠い昔に読んだ日本の小説だった。それは昭和を代表する作家の1人、松本清張の名作『黒革の手帖』(1980年、新潮社)である。

この物語の主人公は銀行の地味なベテラン行員、原口元子。彼女は銀行がひた隠しにする権力者たちの「架空口座(脱税用の偽名口座)」のリストをこっそりと「黒革の手帖」に書き写し、それを武器に巨額のお金を銀行からゆすり取る。

その資金を元手に銀座でクラブを開業して、そこのママに転身し、手帳に記された秘密を盾に権力者たちを次々と脅迫・恐喝する。こうして元子は夜の世界でさらなる高みを目指し、闇に蠢く紳士たちを相手に渡り合い、のしあがっていくのである。

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【エプスタインの「ブラックブック」】

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