駐在員たちのある嘆き
筆者が拠点を置くタイをはじめ、ASEANやインドの現場では、日系企業の駐在員たちが強い熱意を持って奮闘している。彼らは「良い製品を、現地の消費者に手頃な価格で届けたい」という使命感にあふれている。しかし、現実は厳しい。中華系企業の台頭により、かつての「日本ブランド」の絶対的な優位性は急速に失われつつある。
現場で頻繁に耳にするのは、「本社との温度差」への嘆きだ。現地予算の不足、本社の理解不足、そして短期的な売り上げ・利益へのプレッシャー。ある現地法人の社長は、「数十万円の調査レポート一冊買うのにも本社の承認が必要で、意思決定が間に合わない」と漏らした。
日本本社から降りてくる指示が、現地のリアルな消費者ニーズと乖離しているにもかかわらず、それに従わざるを得ない。まさに「羅針盤を持たないまま、荒波の海で操船している」ような状態である。この「目線のズレ」を解消しない限り、日本企業の海外戦略は空回りを続けることになるだろう。
なぜ、日本企業のマーケティングは世界で空振るのか。その最大の要因は、世界と日本の「消費の価値観」の構造的な違いにある。
次ページが続きます:
【世界の富裕層が求めているもの】

