残念ながら、日銀はどれも当てはまりません。
買うのに10年、売るのには100年超?
日銀の財務状況が悪化したのは、まぎれもなく異次元金融緩和が原因です。
「わが国を含め欧米諸国が現在展開している非伝統的な政策の評価も、いわゆる『出口』から円滑に脱出できて初めて、全プロセスを通じた金融政策の評価が可能となる」
これは、白川方明日銀総裁(当時)の退任記者会見での発言です。
私も、その通りだと思いましたが、日銀の財務状況を見ると、もうまっとうな出口から脱出する方法はないのではないか、誰も出口までのプロセスを見つけられていないのではないかと考えざるを得ませんでした。
そこで、白川氏から引き継いだ黒田総裁に、「出口へのシミュレーションは行っているのか」と何度も聞きました。
黒田総裁の答弁は、「時期尚早」というものでした。出口について考えるのは時期尚早だということで、実質的には何も答えてくれませんでした。ただ、今聞いても「時期尚早」という答えが返ってきそうです。要は、異次元金融緩和から脱出する方法について、誰も考えてはいないのです。
日銀は、伝統的金融論から逸脱した、世界に例を見ない異常な状態にあり、保有する株価高騰のおかげで損を出さずに済んでいるに過ぎません。
今の日銀は、金本位制ならぬ「株本位制」だといえるでしょう。株がこけたら日銀もこけ、日本経済も大ごけするという非常に危険な状況です。
25年10月、植田総裁は、保有しているETFを100年以上かけて市場売却すると発表しました。100年以上かけて少しずつ売却するのは、一気に大量に売却するとマーケットに悪影響を与えるからだと言います。しかし、買うのには約10年しかかけていません。
10年間で大量にETFを買ったことが、どれだけマーケットに影響を与えたのか。買うときには影響がなく、売るときにだけ悪影響がある。そんなことがあるはずがないでしょう。

