じつのところ、新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの人にとって、文明社会に生きる私たちが自然の前では無力になり得ることを久々に思い知らされた出来事だった。
現代の多くのアメリカ人にとって「ストレス」といえば、せいぜい「渋滞でヨガのクラスに遅れそう」という程度のことだ。あるいは「隣はうちより稼いでいるんじゃないか?」「このスプレッドシート、終わる気がしない」「子どもがアイビーリーグに入れなかったら、私たちの人生は完全に終わりだ」――そんな類いのものばかりだ。どれも先進国の悩みにすぎない。
多くの学者が指摘しているように、世界は全体的に良くなっている。過去のどんな時代と比べても、寿命は延び、生活の質は向上し、収入は増え、殺される危険や飢えに苦しむ可能性は低くなった。
最も貧しいアメリカ人でさえ、過去の世代に比べれば恵まれている。たしかに、多くの数字やデータ、グラフからは、世界が良くなっていることがうかがえる。世界が居心地の良い場所になっているのは疑いようがない!
しかし、ここに落とし穴がある。私たちの祖先には不快なことがあまりに多かったぶん、逆に向き合わずに済んでいた問題も少なくなかった。それが、現代社会がまさにいま直面している最も深刻な問題である。こうした問題によって、多くの人の人生は、かつてより不健康で、不幸で、そして本来の充実からほど遠いものになっている。
心身ともに不健康な現代人
医療の進化に伴い、寿命は一般的にかつてないほど延びている。しかしデータによると、大多数の人びとは病気を患いながら生きる期間が長くなり、薬や医療機器に依存している。
アメリカ人の32%が過体重で、38%が肥満とされる。しかも後者のうちの8%は「極度の肥満」に分類される。要するにアメリカ人の70%は太りすぎだ。
糖尿病や糖尿病予備軍はいまや3分の1近くにもなる。移動するのに支障があり、ある場所から別の場所へと自由に移動できないアメリカ人は4000万人を超える。心臓病は死因の4分の1を占めるに至っている。これらはいずれも20世紀になるまでほとんど存在しなかった健康問題だ。

