物流に関する法制度が転換期を迎えている。今年4月には、改正物流効率化法(物効法)が全面施行となった。昨年の一部施行では「努力義務」だった物流効率化が、一定の規模を超える事業者に法的義務として課された。
画期的なのは、荷主側にも主体的な取り組みを求める点だ。物流機能の維持は、もはや運ぶ側の努力だけでは難しい――改革の根底には国のそんな問題意識がある。では、法改正で何がどう変わるのか。
対策なしなら輸送力34%不足
日本のトラックドライバーは長年にわたり、長時間労働で物流網を陰日向に支えてきた。かつては「稼げる仕事」の代名詞だったが、1990年の規制緩和で状況は一変。免許制だった運送業は許可制となり、激増した事業者間で熾烈な価格競争が起きた。運賃は下落し、待遇の悪化と共に高齢化や人手不足が進んでいる。
荷主に対しての立場は弱く、長時間の荷待ちや荷積みなどの付帯作業が労働環境を悪化させてきた。ただ、2024年4月の残業規制により、いわゆる「物流24年問題」が勃発。国が23年6月に策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」によると、このまま無対策の場合、30年に約34%の荷物を運べなくなるおそれがあるという。
物効法の目的は、ドライバーの負担を軽減し、輸送力の不足を防ぐことだ。そのため、すべての荷主と物流事業者に対し、①積載効率の向上②荷待ち・荷役等の時間短縮――に取り組むよう求める。中でも年間で9万トン以上の貨物を扱う事業者は「特定荷主」に指定され、種々の法的義務を果たさねばならない。

具体的には、まず5月末までに自社が特定荷主に該当する旨を国へ届け出る。換言すれば、自社がどれぐらいの荷物をやり取りしているのか、可視化と把握が必要になる。3PL(サードパーティー・ロジスティクス)などを利用している場合でも、「物流はすべて外部に任せている」という主張はもはや通用しない。
特定荷主に指定された後は、実行責任者である物流統括管理者(Chief Logistics Officer、CLO)を速やかに選任し、これも国へと報告する義務を負う。その要件は「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」と定められ、役員など経営幹部が就くものと想定される。
なぜCLOが必要なのか。次ページから専門家への取材を元にその理由と背景を深掘りしていく。
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