東洋経済オンラインとは
ビジネス #鉄道最前線

ジャカルタ列車追突「安全装置なし」が招いた惨事 日本の中古電車巻き込まれ大破、過去30年で最大級

15分で読める
ジャカルタ列車追突事故 現場
インドネシア・ジャカルタで起きた列車追突事故。通勤電車(右)に特急が突っ込んだ(筆者撮影)
  • 高木 聡 アジアン鉄道ライター
2/7 PAGES
3/7 PAGES
4/7 PAGES

追突した特急「アルゴブロモアングレック号」は、ジャカルタとインドネシア第2の都市スラバヤ間を最速で結ぶ、いわゆる「大名列車」と呼ばれる存在だ。

最高速度は時速120kmで、事故現場を含む区間は時速115kmまで許容されている。通常は先行列車につかえることなく、停車駅以外ではトップスピードを維持することになっている。指令所は運行状況に応じて先行列車を待避させ、最低2閉塞を在線なし(特急の先の2区間に塞ぐ列車がない状態)にする。

つまり、特急は基本的に全区間、青信号(進行)現示しか受けずに走り続ける。思い込みが極めて発生しやすい状況で、同列車は過去にも衝突事故を起こしている。

救出活動終了後、車両は線路上から撤去されたが、衝突の衝撃で台枠がなくなっているため作業は難航した(筆者撮影)

保安装置未整備に触れない「公式見解」

とはいえ、人間はミスをするものである。最大の原因、そして責任は、長年、保安装置の設置を先送りにしてきた運輸省、そして鉄道会社にある。

それにもかかわらず、事故発生直後から鉄道会社、運輸省とも「タクシーが原因で衝突した」という内容を公式見解とした。よって、ほとんどのメディアは当初、下り電車がタクシーに衝突し、さらに特急に追突されたと誤報した。後に訂正されることになるが、原因がタクシーにあるという論点は修正されなかった。

28日午前1時半過ぎ、現場に現れ記者会見に応じたボビー・ラシディンKAI社長(左)とドゥディ・プルワガンディ運輸大臣(右)(写真:Kaito Ishikawa)

保安装置設置を怠ってきたことが明らかになれば、運輸省、鉄道会社への批判は免れない。

そこで、政府は翌朝には4兆ルピア(約363億円)の追加予算を確保し、全国に1800カ所あるといわれる、日本でいう第三種・第四種踏切(警報機や遮断機のない踏切)の第一種(警報機・遮断器付き)踏切への格上げ、また立体交差道路の整備を約束した。ブカシティムール駅前方の踏切は、地元民が勝手に設置した警報機・遮断器なし(踏切警手は一般住民)の踏切だった。

この対策から、踏切での事故が追突事故の要因であるという見解は変えていないことがわかる。

【写真を見る】ジャカルタ列車追突「安全装置なし」が招いた惨事 日本の中古電車巻き込まれ大破、過去30年で最大級(24枚)

次ページが続きます:
【大破した通勤電車の最後尾車両】

5/7 PAGES
6/7 PAGES
7/7 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象