「そうとうひどい会社で有名だった。未払いやパワハラの話が出ていた」
あるベンチャーキャピタル(VC)の関係者は2021年、当時未上場だった人工知能(AI)開発のオルツの創業者、米倉千貴氏から出資依頼を受けた。その際、米倉氏が過去に経営していた未来少年という会社についての悪い評判を思い出した。だが、オルツには大手VCが多数出資しており、バリュエーションも高かったので面接には応じることにした。
そこで違和感を覚えた。オルツの主力製品である議事録作成サービス「AI GIJIROKU」について尋ねると、米倉氏が不機嫌になったからだ。資料を見て、広告費の規模にも驚いた。「何かがおかしいと感じた」。結局、出資依頼は断った。未来少年の話はIT業界では知られていただけに、「ほかの投資家は不安に思わないのだろうか」と思ったという。
上場前から不正に手を染めていた
24年10月に東京証券取引所グロース市場に上場したオルツは、半年後の25年4月初旬に証券取引等監視委員会から売り上げの過大計上疑惑で調査を受けた。その後、第三者委員会の調査で売り上げの9割が循環取引によるものだと判明。7月末に民事再生法適用を申請、8月末に上場廃止となった。会社は今後清算される。
オルツは上場前から不正に手を染めていた。広告費などの名目で広告代理店に支払った資金が販売代理店を経てオルツに還流していた。新規株式公開(IPO)を急ぐ米倉氏ら経営陣が主導し、成長企業を装っていた。
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