しかし、出店してみると、当初の反応は「散々だった」と笑う。ベトナムでは、ひき肉に対するネガティブなイメージがあり、ハンバーグという食文化自体がなかった。
「行ってからわかった。何も考えてない。挑戦すること」
日本人客でなんとか店を続けるうちに、徐々に韓国人や中国人の客が増えていった。ハンバーグをメインにステーキなどを増やしつつ、現地に合ったメニューを展開している。
やってみないとわからない
「低価格帯が多い商業施設のレストラン街では、ぎゅう丸の単価は高い。テナントの入れ替えも多いなかで12年続けられてるっていうのは、一定の支持を得られてるんじゃないかなと」
そう話すのは、2年前に2代目社長として浩さんのあとを継いだ、息子の直樹さんだ。東京での修業を経て入社し8年が経った頃、「社長になれ」と打診された。当初、自分は社長に向いていないと断ったという。しかし、3000万円借りては崖っぷちで踏ん張り、1億円ほど借りては清水の舞台から飛び降りる父の背中を見てきた。
「じゃあ、やるか」
覚悟を決め、社長となった直樹さん。現場と気軽に話せる距離の近さを大切にした、自分なりのスタイルを築き始めている。
社長を退いた浩さんには、考えがあった。
「電話もなければテレビもない時代に育ってきた人間が、生まれたときからスマホもなんでもある時代を生きる人たちが求めるものなんて、想像つかんですよね。だから変わった」
店舗運営のスタイルも、現場がわかる店長やスタッフに任せる方針を貫いている。
「やらされ感があると面白くない。自分の頭で考えることが大事。自分もそうやったけん」
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【料理と経営の両方に通ずるぎゅう丸の哲学】
