――5年前の21年10月、岸田氏が首相に就任するなり会見で解散を表明したことで、事実上の選挙戦がスタートしました。政権発足直後から岸田内閣の支持率は50%を下回り、歴代の内閣と比べてもかなり低い数字でした。
20年9月に安倍晋三氏からバトンを受けた菅義偉氏はコロナ禍の対応に追われ、わずか1年あまりで退陣を余儀なくされた。その後を継いだ岸田文雄氏にとって好運だったのは、すでに菅内閣のうちにコロナがほぼ収束の方向にあったこと、そして安倍晋三氏の当選同期ということもあっただろう。
この期は、中選挙区制での最後の選挙では初当選した有能な政治家が多く、国民のあいだでどこかに期待感があったと思う。岸田氏には国民的な高い人気はなかったが、そうした好運や漠とした期待感を背景に可もなく不可もなく、しかも争点らしい争点もない、凪のような選挙となった。
自民党支持層を固めて勝利
岸田内閣にはご祝儀相場と言えるような発足直後の高い支持率はなかったが、それでも自民党支持率はマスコミ各社の調査で40%以上ありかなり高かった。普通であれば、内閣支持率がこれだけ低いと、自民党の支持率はもっと低くなるものだが、そうでもなかった。
この選挙では幹事長だった甘利明氏が小選挙区で落選(比例で復活当選)するなどいくつか波乱はあった。が、自民党は改選前から15議席減らしたものの、過半数の233議席を大きく上回る261議席を確保した。これは岸田首相への期待票というよりも、自民党への期待票だったということだろう。この点が、多くの有権者が自民党というより、高市早苗首相に投票した今年の衆院選と違うところだ。
――それでも今年の選挙では高市人気を背景に、自民党支持層の8割近くが自民党に投票していますね。
ある出口調査によると、自民党が過半数割れした25年の石破内閣下の参院選では自民支持層の約60%しか自民党に投票していない。つまり支持層を固め切れていなかったということだ。これが今年の衆院選になると、80%を超えている。そこが大勝の源泉だろう。
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【自民党支持層の正体】
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