工作機械大手・牧野フライス製作所をめぐるTOB(公開株式買い付け)が、暗礁に乗り上げている。4月22日、牧野フライスとTOB契約を結んでいたアジア系投資ファンド・MBKパートナーズに対し、日本政府が外為法に基づき株式取得の「中止勧告」を出した。
「中止勧告は寝耳に水だった」。関係者はそうこぼす。
牧野フライスをめぐっては、モーター大手・ニデックが2024年末に同意なき買収を仕掛けたが、牧野フライスが買収防衛策で対抗。ニデックは発動の差し止めを東京地裁に求めていたが認められず、25年5月に買収を撤回していた。
その後、ホワイトナイトとして名乗り出ていたMBKが公開買付契約を結び、牧野フライスの完全子会社化により非公開化することが既定路線とみられていたが、今回の中止勧告を受けて見送ることとなった。日本の投資ファンドであるNSSK(日本産業推進機構)が買収に名乗りを上げるなど、事態は急展開を見せている。
軍事転用可能な工作機械
MBKは牧野フライスへのTOBを公表した25年6月から、国内外の競争法や投資規制法令に基づき必要な許認可の取得に、世界各国で奔走していた。ドイツ、イタリア、フランス、中国、アメリカと、外国では順を追って認可が進んでいたものの、日本でのみ取得できていなかった。
昨年12月に予定されていたTOBは何度も延期され、4月10日にMBKは6月下旬にも買い付けを開始する予定と発表した矢先のことだった。

MBKは日中韓で活動する韓国発祥の投資ファンドだ。アメリカの大手プライベートエクイティファンド・カーライルの元アジア代表が05年に立ち上げた。総勢100名規模の投資家を抱え、うち約40名は東京オフィスで日本の投資案件を扱う。これまでユニバーサル・スタジオ・ジャパンやコメダ珈琲などへの豊富な投資実績を持つ。
この記事は有料会員限定です
残り 1377文字
