たとえば、前期型のインストルメントパネルには欧州製の木材が使われている。これはジウジアーロ氏のこだわりによるものとされ、欧州スポーツカーの雰囲気を演出する大きな魅力のひとつだ。ただし、その質感を再現するレストアは難度が高く、国産材を用いたほかの年式以上に手間がかかるという。
このため同社では、部品取り車を用意し、そこから必要なパーツを移植するケースも多い。結果としてベース車両は減少し、前期型の個体数はさらに少なくなる。希少性が高まる構造だ。
さらに部品調達や作業工程に時間を要することから、レストア期間も長期化する傾向にある。今回展示された前期型も約4年前に作業を開始し、2025年に完成したそうだ。こうした事情からハンドメイドの前期型は、ほかの年式に比べて価格が上昇しやすい傾向にある。
人気が拡大する旧車の行方
ここ数年、国産ビンテージカーの人気は年々高まっている。加えて、中古車価格が上昇する車種の裾野も広がりつつある。
これまでは、60年代後半から70年代に販売された日産「スカイライン」や「フェアレディZ」、トヨタ「2000GT」などが中心だった。とくに2000GTは希少性の高さもあり、海外オークションで1億円を超える価格が付いた個体も確認されている。
一方で、117クーペのように、かつては比較的入手しやすかったモデルにも価格上昇の波が及びつつある。従来は一部の愛好家に限られていた車種にも注目が集まりはじめているためだ。
対象車種の広がりにより、国産旧車市場は今後も一定の活況が続く可能性がある。ただし、再生産されないクルマを扱う以上、供給が増えない構造であり、市場にはおのずと限界がある。ブームがいつまで続くのか、今後どのように変化していくのかが注目される。
