日本と台湾の双方にルーツを持つ男性が2026年4月20日、かつて兵役中に所属していた中隊長から公の場で繰り返し侮辱を受けたと自身のSNSアカウントに投稿した。男性は、中国語で日本人に対する強い侮蔑語とされる「日本鬼子」と呼ばれたほか、「台湾で兵役に就くのは罪滅ぼしだ」などと言われたと訴えている。
この投稿は瞬く間に拡散し、大きな注目を集めた。台湾の報道機関も相次いで取り上げる中、この男性が所属していた陸軍第6軍団(桃園市)は事態を重く受け止め、中隊長をただちに職務から外したうえで厳正に処分する方針を発表した。侮辱行為の疑いについては司法機関に送致し、法に基づき対処するとしている。
民主国家の軍として変化していたが…
さらに陸軍は幹部を派遣して調査を進めるとともに、男性とその家族に謝罪した。あわせて指揮官の統率力向上を図り、相互の尊重と信頼に基づく部隊運営の徹底に努める方針を示した。
その後も報道の関心は高まり、翌21日には顧立雄・国防部長(国防相)が立法院(国会)で記者団の取材に応じた。指導や管理に不適切な点があったとの認識を示し、再発防止に向けた教育や周知を徹底する考えを明らかにした。
台湾軍は、中国人民解放軍のような政党の軍ではなく、国家に属する軍隊である。戦時期や長期にわたる戒厳令下を経て、国民党の影響が強い軍から民主国家の国軍へと変化してきた経緯がある。
ただし、今回の問題は組織文化の一部に旧来の体質が残っている可能性を示唆するものとして受け止められている。軍内部を中心に、社会的な関心が高まったとみられる。
次ページが続きます:
【台湾国軍が抱える負の遺産と使命】
