中間順位1位のトイトリオが仕上げてきたのは、AIとの対話を題材にしたメディアアート的作品だった。「胸を打つ言葉」「裏切る言葉」といったお題に対して、画面上の言葉をソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発した小型ロボット「toio」のコントローラーで並べ替え、AIの考える"重み順"との一致度を競う。AIの判定結果に従って、実際の物理天秤がリアルタイムで傾いていく仕組みだ。
開発者の一人は、プレゼンの最後にこう語った。「プロンプトすら要らなくなってきて、言葉の重みがどんどん居場所をなくしているのではないか。AIはそもそも"愛とは何か"、言葉の重みを本当に理解しているのか。それと向き合うゲームにしたかった」。AIに使われる人間ではなく、AIに向き合う人間を育てる装置としてのゲームデザイン。短期開発の現場で、ここまで哲学的な作品が生まれていた。
AIもいっしょ「サヌパトロール」
最終戦で頭角を現したのが、ゴローマン氏を擁する「AIもいっしょ」の「サヌパトロール」だ。SANUの敷地に現れるカラスを撃退しながら進むアーケードゲーム──という表面的な設計の裏に、ゲーム史上でも類を見ない仕掛けが埋め込まれていた。
プレイヤーとAIが、物理的に1つのアーケードコントローラーを共同で握るのである。ゲーム内のキャラクターをAIと操作するのではない。現実の筐体そのものを、人間とAIが2人羽織のように共有する。AIの判断でボタンが押され、人間の判断でスティックが動き、時にその役割が入れ替わる。ゲームをAIで作ったのではなく、AIと一緒にプレイするゲームが、ここに立ち上がっていた。
中間順位7位からの逆襲を仕掛けたのが、落合陽一研究室のメンバーで構成された「null^2キッズ」だった。同研究室は、2025年の大阪・関西万博で大きな話題を呼んだパビリオン「null²」を手がけたチームとしても知られる。同チームが生み出したのは、全身を使う格闘ゲーム「サヌファイト」である。
プレイヤーは事前にカメラの前で自分の「必殺技ポーズ」を撮影・登録する。AIはその動きを解析し、「中段が長い」「加速する」といった特性から攻撃力や当たり判定を自動生成。対戦中は、登録したポーズを実際に取ることで、画面内の自分に必殺技を発動させる。自分が考えた必殺技に名前を付け、自分が主人公の格闘ゲームで対戦できる没入感が、会場で最大級の盛り上がりを生んだ。
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【フツーのOL「SANU休日ミニゲーム」】
