競技は3ラウンド制で行われた。1回目は「自然」と「AI」を掛け合わせたゲームを90分で最低3本、2回目は支給された風船と3000円の買い出し予算で屋外展示作品を制作、そして3回目は夜から翌朝までの約12時間をかけて「AIゲームセンターに出せる協力・対戦ゲーム」を作る、という構成だ。
この2日間で、ひとつの逆転現象が起きていた。第1ラウンドの90分勝負で、プログラミング未経験のメンバーで構成された「フツーのOL」チームが、16本のゲームを完成させたのである。ベテランのプロ開発者チームが品質を担保して4本前後にまとめるなか、未経験者チームが圧倒的な量で殴り返してきた。AIという道具を手にした素人が、プロと同じ土俵で戦える──その事実が、初日の午前中に早くも可視化されていた。
続く第2ラウンドでは、各チームが風船とスーパーで買い込んだ資材を組み合わせ、ドローン、段ボール、ソレノイド、花火といった物理ギミックとAIを融合させた屋外作品を次々と披露した。そしてすべての前哨戦を経て、勝負は12時間耐久の最終戦に持ち込まれることになる。
最終戦「AIゲームセンター」の12時間耐久
最終ラウンドのお題は、「AIゲームセンターに出せる協力・対戦プレイ可能なゲームを、夜から翌朝までの約12時間で作れ」というもの。審査は、各チームに配布された10枚のプレイチケットを使い、全員がお互いの作品を実際に遊び合う「ロケテスト形式」で行われた。ロケテストとは、アーケードゲーム業界で本稼働前に店頭で実機テストを行う手法を指す。
清水氏はさらに新ルールを加えた。「本番中にトラブルが起きたら、運営中に作品を直しながら進めてよい」。もはや開発ではなく興行である。朝9時に発表された中間順位では、1位が「トイトリオ」、2位タイに3チーム、そして最下位の7位に落合陽一研究室を擁する「null^2キッズ」が位置していた。最終戦の代表的な4作品を紹介したい。
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【トイトリオ「言葉の重み」】
