POT大泉町店は、若い女性客からファミリー層まで幅広い客層に受け入れられるよう、あえて店内は白をベースにした無機質な空間。赤い看板の昔ながらの町中華とは一線を画している。
今回取材させていただいた2号店、東久留米店も同じく、いい意味でファミレスのような親しみやすさが漂っている。ランチ1000円で、ご飯もおかわりし放題。量を食べたい男性陣にも、デザートまでしっかり楽しみたい女性陣にも人気が出るのもうなずける。夜はアラカルトで楽しんで3000円くらいだ。
料理は四川料理をベースに、広東料理も取り入れた食べやすさを重視したメニュー。人気の「ねぎまみれどり」は蒸し鶏をネギとショウガのタレであえた一皿。ジューシーなタレが口いっぱいに広がる。
しっかり目に味をつけた「よだれどり」は四川料理の名品だ。しびれ加減と辛味の気持ちいい「麻婆豆腐」はファンが多いのもうなずけるおいしさ。「究極の酢豚」は甘酸っぱいタレとホロホロに柔らかい肉が相まって、まさに至高の一皿だった。
新作メニューの酸辣醤麺は、酸味と辛味の一体感がそそられる。肉味噌もたっぷりでボリュームも満点。こんなメニューがずらりと並ぶのだから、客は大喜びだ。
「実はこの酸辣醤麺はSNS映えを意識して作った新作なんです。広告を流したところ、見事にバズりました。新しいメニューを考える際には、そこのところはきっちり線を引いて、広告のための料理は割り切って開発しています。わかりやすく言うと、アオリイカの青じそ炒めではおいしいけれど、SNSにアップしてもバズれない。そういうことなんです」と小野氏は言う。
そうした細かな努力によって新規顧客を拾うことも大切にしている。大泉学園と東久留米という住宅街にありながら、地元にしっかりと根付いているばかりか、遠方からわざわざ目指してくる人も多いことが、その証左だろう。
ミシュラン店で気づいた「中華の世界の違和感」
もともとバーテンダーやソムリエなど、ホールの仕事をメインに飲食業界を渡り歩いてきた小野氏。その後、中国料理の世界に入ったが、料理人と対等に渡り合うためには、自分も料理人としての修業が必要と感じ、そこから厨房へ。27〜28歳の頃だというから、スタートとしては遅かった。
だが、そこからの頑張りがすごかった。いわゆる時計が1周半するくらいのハードワークをこなして、4年ほどでひととおりの技術を身につけた。
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【中国料理の世界を俯瞰してみると…】
