さらに面白いのは、定食に中華そば(小)を組み込んだ構成だろう。中華料理も食べたいが、ラーメンも外したくない。そんな欲張りなニーズを、無理なく満たしてくれる。ラーメンと中華料理、どちらかを主役にするのではなく、両方を自然に共存させているのである。
既存チェーンでは埋められない空白
「餃子の王将」や「大阪王将」、「バーミヤン」が競合店のように思えるが、これらはラーメンを食べに行く中華レストランではない。さらにラーメン専門店に目を向けると、状況はまた違う。
現在のラーメンは1杯1000円前後が当たり前になり、そこに餃子や唐揚げ、チャーハンを付ければ1500円近くになることも珍しくない。味の満足度は高いものの、日常使いとしてはややハードルが高くなりつつあるのも事実だろう。
格安の中華定食という価格帯だけを見ると、中華そばを税込み420円で提供する「日高屋」と被る。「日高屋」があるのは、主に駅前。中華料理をアテにお酒を飲む、いわゆるちょい飲み需要を取り込んで回転率を上げるモデルである。
一方、「丸福飯店」の立地は、物語コーポレーションが得意とする郊外ロードサイドに主眼を置いている。ターゲットはファミリー層であり、子供向けに「お子さま中華そば」を90円(税込み99円)で提供するなどの工夫も盛り込まれている。家族で気軽に足を運び、「安くてお腹がいっぱいになる」かつての中華レストランを再定義しようとしているようにも見える。
ラーメンと中華という2つの巨大市場のど真ん中を狙う。言葉にするとシンプルだが、それを成立させるには、価格と味、メニュー構成、そして立地のすべてが噛み合っていなければならない。このラーメンと中華料理の中間という「丸福飯店」のポジションがどこまで広がるのか、今後の展開が気になるところだ。
