象徴的なのが前出の「丸福中華そば」である。いまどき500円台でラーメンが食べられるというわかりやすさは、それだけで強いインパクトを持つ。しかも、単なる安売りではなく、むしろ、中華そばを起点にメニューをどう広げるかが設計の肝になっている。
チャーハンや餃子を付けてもツーコイン、つまり1000円以内に収まるセット構成にすることで、来店ハードルを下げつつ満足度を底上げする。結果として、客単価も無理なく引き上げられる仕組みだ。
町中華とラーメン専門店の真ん中を狙う
「仮に、『丸福中華そば』だけを食べに来られるお客様がいても、まったく問題ありません」と加藤社長は言う。そういった客は頻繁に通ってくれるため、セットメニューを目当てに来店する客と使う金額は長期的に見ればあまり変わらなくなるからだ。
とはいえ、安いだけでは長く続かないことは加藤社長も承知している。だからこそ、ラーメンとしてのきちんとした作りにこだわった。スープは豚ガラをベースにした醤油清湯。町中華のようにあっさりしすぎず、かといってラーメン専門店のように重すぎない。ちょうどその真ん中を狙った味わいだ。さらにもっちりとした食感の自家製麺を採用し、専門店らしさもきちんと担保している。
中華料理では、「厚切りレバニラ炒め」が印象に残る。餃子や唐揚げ、チャーハンといったサイドメニューの定番に埋もれがちな中で、あえてここを看板メニューの1つに据えているのは興味深い。
「炒め物はほかにも回鍋肉や肉野菜炒め、麻婆豆腐などを用意していますが、レバニラ炒めは家庭では再現しにくく、火入れひとつで仕上がりが大きく変わります。そこに外食ならではの価値が出ると思っています」(加藤社長)
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【ラーメンと中華料理が共存】
