――防衛省がドローンの導入や対処に本腰を入れていますが、韓国の場合はどうですか。
日本では、制度整備や産業支援を含めた本格的な議論は、ロシアによるウクライナ侵攻以降に加速した印象がある。一方、韓国の場合はそれより早い段階から動いていた。
防衛産業全体の動向としてみると、2014年のロシアによるクリミア併合以降、欧州では対ロシアの脅威認識が急速に高まった。この中で注目された装備の1つが、韓国のハンファ・エアロスペースが製造するK9自走榴弾砲だ。10年代後半にはフィンランドやノルウェー、エストニアなどが相次いで導入し、韓国製装備品の欧州市場での存在感が増していった。
こうした動きと並行して、ドローン分野でも政策的な位置づけが徐々に強化されていった。
――これまでにどのような動きがありましたか。
日本の自衛隊と比べても早い段階から本格的な取り組みが進められてきた。大きな契機となったのが、17年に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権が推進した「国防改革2.0」だ。AIやドローンといった先端技術を前提とした軍事力への転換を掲げた構想だった。
その背景には、急速に進む少子化がある。韓国の合計特殊出生率は大きく低下し、徴兵制を維持しても将来的な兵力確保が難しくなることが見込まれていた。こうした状況の中で、無人化・省人化技術を軍事に組み込む必要性が強く認識されるようになった。
18年前後には、陸軍が将来の戦場を見据えたロードマップである「陸軍ビジョン2050」を策定し、専門部隊として「ドローンボット戦闘団」を創設した。部隊内での整備・運用能力の内製化を進めるなど、ドローンを前提とした部隊運用の早期確立に向けた取り組みが段階的に進められてきた。
北朝鮮の脅威とドローン運用能力の底上げ
――軍におけるドローンの運用を急ぐ背景には北朝鮮の動向もありますか。
大きな要因の1つと考えられる。朝鮮半島情勢を踏まえ、韓国にとっては即応性の高い無人戦力の整備は優先度の高い課題となってきた。
ウクライナの戦場では北朝鮮の兵士がドローン戦を命懸けで学んでいるとされる。当初はドローンからの隠れ方もわからず犠牲を出したが、その代償のうえにノウハウを蓄積している。さらに、イランがロシアに供与した自爆ドローンを北朝鮮が自国生産し始めているとの情報もある。
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