4月中旬、IMFから恒例の「世界経済見通し(WEO)」や「国際金融安定報告書(GFSR)」が公表された。前者(の第2章)では、防衛費拡大ブームがマクロ経済環境に与える影響が丁寧に議論されており、歴史的に見れば、防衛費拡大に伴う財政政策の乗数効果はほとんど期待できず、多くの国にとって財政収支や経常収支の脆弱性を高めるだけの結果に終わるとの分析が展開された。
近年注目される円安相場の構造的な脆弱性にとって、新たな逆風となるのが防衛費拡大ブームなのではないかと筆者は感じている。
今回はWEOと同時に公表された「国際金融安定報告書(GFSR)」の第1章におけるBOX欄の議論「Rising Japanese Government Bond Yields Could Affect Global Asset Allocation(上昇する日本国債利回りが世界の資産配分に及ぼす影響)」を取り上げてみたい。
WEOでの防衛費の議論とは異なり、日本に限定した分析であり、為替市場の観点からも注目しておく必要はある。
日本生命はじめ機関投資家の動向に言及
内容はオーソドックスな分析であり、日本が「金利のある世界」に戻ろうとしている中、世界的にも非常に大きな海外債券残高を抱える本邦機関投資家が海外から国内へのレパトリ(Repatriation、資金環流)に踏み切り、これが国際金融市場に混乱をもたらすことへの懸念が示されている。
円金利の上昇に伴って、外債投資の投資妙味が相対的に劣化するという極めて普通の話ではある。
報告書では円金利上昇で日本の機関投資家が大幅な評価損を被っているという事実が指摘され、「日本の大手生命保険4社(第一生命、明治安田生命、日本生命、住友生命)は、合計で13.2兆円の評価損を報告しており、これは2025年第3四半期末時点の約11兆円から拡大した」と明記されている。
また、「懸念されるのは、利回り上昇を受けた国内投資の再配分による影響」と述べ、「円キャリー取引の解消(巻き戻し)は、投資家が市場間の相対的な価値を再評価する中、世界の資本フローに影響を及ぼす」と警鐘を鳴らす。
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