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"炎上"を恐れて伝え方を丸くした瞬間、作品は死ぬ…『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』編集者が説く「感想を歪ませる」3つの罠

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想像の上をいくアウトプットを引き出す 編集者のフィードバック
「賢く見られたい」と思うと、人は無意識に「正しさ」を探してしまいます(写真:jessie/PIXTA)
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賢く見られたい、関係を壊したくない、炎上したくない。こうした「自分を守りたい」という生存本能が働いた瞬間、編集者の鏡は曇り、作品をありのままに映し出すことができなくなる。

なぜ、僕たちは鏡を歪めてまで自分を守ろうとしてしまうのか。その正体を解剖し、どう乗り越えるべきかを考えてみよう。

「賢く見られたい」の罠

作品に対して感想を伝えるとき、「何か意味のある、鋭いことを言わなければ」と身構えてしまうことはないだろうか。的外れなことを言って「こいつはわかっていない」と思われるのを避けたい。

そんな気持ちは、プロであっても自然に湧いてくるものだ。

しかし、この「賢く見られたい」という自意識こそが、作品と向き合う姿勢を最も鈍らせる。

僕が新人編集者だった頃、ベテラン作家の担当を先輩と一緒にさせてもらっていた。最初は「僕のような新人の感想なんて意味がない」と萎縮していた。だが、それでは「鏡」の役割を果たせない。僕は「的外れでもいい、仕事として感じたことを全部出そう」と腹をくくった。

怖気(おじけ)づかずに、感じたことを次々と伝えていったのだ。

すると意外なことに、僕の「拙(つたな)いけれど正直な言葉」が作家の思考を刺激し、展開が次々と変わっていった。

『ドラゴン桜』の誕生秘話として、三田紀房さんがさまざまなところで語っているが、東大合格者を出そうとする学校改革の話というアイデアは、三田さんから出てきた。

三田さんの甲子園漫画が大好きだった僕は、まだ新人だったが、企画を聞いたときに「甲子園を狙うことに比べたら、東大なんて簡単なんで、そこまで面白くならないのでは?」と頑張って意見をした。

すると、「逆に、より面白い。『東大は簡単だ』がコピーになる。どう簡単なのか、説明してみて」と三田さんから質問攻めにあった。僕はそれに必死に答えるだけだったが、三田さんから上がってきた第1話目は非常に面白いものだった。

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【「良い感想」とはどのようなものか】

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