「大阪人、2人そろえば漫才になる」という説もよく耳にする。本当だろうか。確かに「なんでやねん」は日常会話に頻出するし、筆者もたびたび口にしている。その方言が上方漫才のように聞こえるという点では、漫才なのだろう。
しかし漫才のように「面白いか」と問われると、さすがにそこまでのレベルには達していない。プロとの差は歴然としている。そのプロの漫才ですら、大阪を拠点とするコンビがM-1グランプリでチャンピオンになったのは2019年以来6年ぶりだった。
かつて日本一だった商店街を歩いてみる
人情があるんだか、ないんだか。おもしろいんだか、サブいんだか。「じゃあ、大阪ってどんな街なの」。長く大阪に住み暮らした筆者にも、これがつかめない。そこで、大阪の象徴とも呼ばれる「天神橋筋商店街」を歩いてみることにした。
天神橋筋商店街は大阪市北区を縦断し、全長およそ2.6キロにも及ぶ途方もない長さを誇る商店街だ。その名の通り天神橋という橋を起点とし、店舗数は約600。ピーク時にはなんと800軒を超えたという。2024年、東京都台東区に全長約3キロの東京国際通り振興会が誕生するまで「日本一長い商店街」の称号を保持し続けた。
天神橋筋商店街の大きな特徴は、天神橋1丁目から7丁目まで、街区分によってナンバリングされている点にある。そして、これほど長大な商店街になると1から7まで歩いた経験がある者は大阪人ですら少ない。2018年までは、歩ききると証明書として「満歩状」が発行されていた。天神橋筋商店街の踏破はそれほど珍しい、いちびった(ふざけた)行為なのだ。
ならば、あえて歩いてみよう。東京は東西で文化が異なるという。対する大阪は「キタ」「ミナミ」と呼ぶように文化が南北で異なる。ならば「天神橋筋商店街を北上し、さまざまなカルチャーに触れることで、大阪の正体が見えてくるのではないか」と筆者は考えたのだ。
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【てんいちに「こてこて」は見当たらない】
