一時は人と会えない状態まで追い込まれたが、回復の兆しがみえたとき、とも子さんは「自分が経験したことを社会に役立てたい」と感じるようになった。
現在も複数の中傷投稿者に対する訴訟を続けている。
「加害者は目立つ人を標的にします。あのときは、たまたま私だっただけで、次は別の誰かを狙います。どこかのタイミングで『それは間違っている』と誰かが伝える必要があるなら、私がやろうと決めました」
「四半世紀も会っていなかった」
今回、野上と血縁関係のある女性の1人が取材に応じた。
20年以上前に、孫にあたる子どもの顔を見せたきり、会っていないという。
「なんでこんなことになってしまったんだろう」
「生前1回ぐらいは(野上に)会いたかった。親だからね」
幼いころの印象と、中傷を繰り返していた人物としての姿は、そこまで結びつかないようだった。
「わざわざ人のことをこんな風に言わなくても(よかったのに)。もっと違うこと考えていればいいのに」
被害者のとも子さんが裁判を続ける理由を女性に尋ねると、「裁判を続けてどうなるの?」と不思議そうにしていた。本心からそう言っているようだった。
この女性も訴訟の被告となってから、相続放棄をしている。
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【「体は傷つかなくても、心は傷ついている」】
