裁量労働制の最大のリスクとされるのが、対象者が過大な業務量が与えられた場合、みなし時間を超えて何時間働いても賃金は変わらない、いわば「定額働かせ放題」状態に陥り、際限のない長時間労働を余儀なくされかねない点だ。
そもそも裁量労働制は、業務遂行の手段や時間配分を使用者が具体的に指示せず、労働者個人の裁量にゆだねる仕組みのはずだ。だが、本当の意味での「裁量」を与えられている労働者が、はたしてどれだけいるのだろうか。
厚生労働省が行った「裁量労働制実態調査」によれば、専門業務型、企画業務型双方とも、具体的な仕事の内容・量は上司が決めているとの回答が約3割を占めているのが実情だ。
この実態調査の結果を詳細に分析した東京大学の川口大司教授、早稲田大学の黒田祥子教授らの共同研究では、業務に対して十分な裁量を持たない労働者への同制度の適用は、長時間労働や健康への悪影響を招く可能性があると明らかにされている。
また専門業務型の20の対象職種は専門性・自律性が高く、その裁量も大きいことが制度の前提となるはずだが、現実は大きく異なっている。
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