西武ホールディングス(HD)上場前の2013年、西武HDは、当時同社の筆頭株主だったアメリカの投資ファンド・サーベラスから企業価値向上策の1つとして利用者の少ない山口線、多摩川線、国分寺線、多摩湖線、西武秩父線という5路線の廃止を求められていると主張した。
実施されれば、通勤・通学、観光やスポーツ観戦に影響が出かねない。西武HDは「社会的使命に反する」としてこの提案に反対。地元の東村山市や所沢市も西武HDを支持。サーベラスも「要請ではなく、中長期的な戦略的施策における検討項目として列挙された項目の一部にすぎない」と釈明し、事実上、提案を撤回した。世論を味方につけた西武HDが一枚上手だった。
5つの路線に「中古車両」導入
とはいえ、固定費の削減は経営面の重要な課題であり、コロナ禍を経てコスト意識は顕著になった。
そこで新造車両を導入する池袋線や新宿線に対し、多摩川線、多摩湖線、西武秩父線、狭山線、国分寺線で使う車両については、小田急電鉄や東急電鉄など他社の中古車両を譲り受けて改造した「サステナ車両」を投入する方針を打ち出した。国分寺線ではすでに元・小田急の車両が走行している。
サステナ車両の導入路線5路線のうち狭山線を除く4路線は、サーベラスが提案した5路線に含まれる。西武はサステナ車両の導入効果として使用電力削減や車両のリユースによるCO2削減効果を訴求しているが、中古車両購入費、老朽化した電機品の更新費、西武線走行に向けた改造費といったサステナ車両導入にかかる費用は、車両新造と比べると割安になるという側面もある。その点において、サステナ車両の導入はかつてサーベラスが求めていた企業価値向上策という見方もできる。
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【山口線には「新造車両」】
