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開始半年で大失速の「NHK ONE」、65億円のオンデマンド収入を守るより受信料で過去番組を全解放するべき"当然の帰結"

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NHKの看板
NHKは「NHK ONE」のアカウントが半年で360万を超えたと発表。だが手放しには喜べない(写真:アフロ)
  • 境 治 メディアコンサルタント
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08年のサービス開始当初、この構造には一応の道理があった。当時は「オンデマンド配信」という概念自体が新しく、配信ごとの著作権処理コストも膨大で、しかも動画配信サービスという業態に対応した放送法上の規定もなかった。受信料と切り離して別会計で運営することが、使わない人への公平性を担保する条件だった。

だが、昨年にNHK ONEが始まり、ネット配信はNHKの「必須業務」になった。受信料でネットサービスを提供することが法的にも認められた。その状況で、同じく受信料を財源に制作された番組のアーカイブだけを有料のまま切り離しておく理由は、もはや薄い。

「連携」は方向性が違うのではないか。NHK ONE契約者にNODのアーカイブを無料で開放するのが筋ではないか。

小さな収入は捨ててNHK ONEの利便性を高めよ

2024年度の受信料収入は約5901億円で、前年度から426億円減。NHKは対応に追われている(写真:アフロ)

NHKは今、受信料収入減少への対応に追われている。24年度の受信料収入は約5901億円で、前年度から426億円減った。契約総数は約4067万件、支払率は78%だ。

こういう状況だから、NHKの経営陣は少しでも収入を増やしたいと思っているはずだ。サービス開始から18年が経過したNODは、登録者数379万人、年間収入65億円を稼いでいる。NHKとしては、これを100億円に伸ばしたいだろう。NHK ONEとの「連携」にはその意図が透けて見える。

そこだけ取るとわからなくもない。だが、長期的に見ると誤りだと思われる。

NHK ONEとNODを実質的に統合し、2万2000本のアーカイブをNHK ONE契約者なら追加料金なしで見られるようにする。放送中の番組も過去のアーカイブも、受信料1つで全部見られる。これが実現したとき、NHK ONEの意義が大きく変わる。

過去の大河ドラマや朝ドラが視聴できる。NHKスペシャルの膨大な歴史が見られる。受信料月1100円で、これだけのSVOD(定額制動画配信)サービスが利用できる。

私は「映像の世紀 バタフライエフェクト」が大好きで全回録画してあるが、ハードディスクのかなりの容量を占めてしまう。膨大な数で、見たい過去回を探し出すのも大変だ。もし、いつでも好きな回をオンデマンドで視聴できるなら、受信料は安いものだ。

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【「統合」には別の恩恵もある】

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