旧サービスから新サービスへの切り替えは、移行期間なしで一斉に行われ、メールを送って認証コードを受け取るという複雑な手続きが必要だったため、既存ユーザーにとっての障壁が高かった。認証コードが届かず、登録が完了しなかった人は多いとみられる。
私も最初のつまずきで嫌気がさした。受信料は払っているし、旧NHKプラスにも登録していたのに、なぜそのまま移行できないのか。「面倒くさい」と感じた時点で人は離れる。ネットサービスはそういうものだ。
362万件という数字は、半年でゼロから積み上げたという意味では評価していい。ただ、NHKは25年度中のネットのみの受信料収入を「年間1万件・約1億円」と見込んでいたが、この目標が達成できたかは不明だ。
「NODとの連携」よりもやるべきこと
NHKがネットで受信料を本格的に稼ごうとするなら、今のサービス内容のままでは難しい。それはなぜか。
今回の説明会で、NHKはNHK ONEとNHKオンデマンド(NOD)の「連携強化」を打ち出した。NHK ONEでの見逃し配信が終了した番組については、NHK ONEのサイトからNODの番組ページへ移動できるリンクをつける、というものだ。
これは「連携」ではなく「送客」だ。
NODは08年にスタートし、今年で足かけ19年サービスを展開してきた。大河ドラマ、連続テレビ小説、NHKスペシャルなど、約2万2000本のアーカイブを配信している。
単品でも購入できるが、月額990円の「まるごと見放題パック」はコンテンツの充実度という点では悪くない。会員登録者数は379万人に上り、年間売上高は65億円(24年度)規模にまで成長した。
ただ、だからこそ引っかかる。NODは「受信料で制作された番組」を、受信料を支払っているユーザーから「改めて別料金で視聴料を取る」サービスだ。
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【NHK ONEが変えたNODの「存在理由」】
