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ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の悪化、そして台湾有事への懸念など、世界情勢が混迷を極めている。日本国内でも、2026年度の防衛予算案が史上初めて9兆円を突破するなど、防衛力強化に関する議論がかつてないほど活発化している。
前編では、丹羽宇一郎氏の著書『
Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』を起点に、東京大学先端科学技術研究センター准教授の小泉悠氏と、クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏に、世代間で異なる「戦争へのリアリティ」や、日本の防衛力強化の現在地について語り合っていただいた。
後編のテーマは、現代の安全保障において物理的な武力と同等、あるいはそれ以上に重要性を増している「情報戦・認知戦」についてだ。SNS上では日々、過激な言葉が飛び交い、特定の国を仮想敵として煽り立てる言説が後を絶たない。
ディープフェイクが溢れ、真実と虚偽の境界が曖昧になる中で、私たちはどう情報を取捨選択すべきなのか。情報空間で起きている「見えない戦争」の実態と、個人としてのSNSとの向き合い方について、引き続き二人が語り合った。
外交か軍事かではなく「全部やる」
辻愛沙子(以下、辻):日本が唯一平和に生き残っていける道って、仮に「みんなにいい顔をしている」と言われたとしても、どの国とも良好な関係を築けるよう平和外交をし続けていくことしかないと思うんですよね。例えばアメリカと中国、どっちを取るか……といったような状況にまずさせないように仲裁や対話を重ねていくべきですし、どこかひとつの側を刺激して対立して国益になることなんてひとつもない。
今だったら、せっかくイランも親日国なのだからアメリカ側だけでなくイランとも対話をして仲裁をするとか。そういう「この国が間に入ると場が収まる」という存在として、国際社会での存在感を発揮していくことが、一番現実的にできる日本の立ち回りな気がしています。
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【「外交か、軍事か」二元論からの脱却】
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