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「右派も左派も"脳内の敵"を叩いているだけ」小泉悠×辻愛沙子対談(後編)日本人が無自覚にハマる"言論の軍拡競争"とは

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小泉氏と辻氏の対談の様子
若い世代が抱く「情報戦」の素朴な疑問について、辻愛沙子氏と小泉悠氏が語り合った(撮影:今井康一)
  • 小泉 悠 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
  • 辻 愛沙子 arca代表取締役/クリエイティブディレクター
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小泉:僕は20年近くネットと付き合ってきましたが、一番の対策は「急がなければいい」ということだと思っています。

僕はインターネットの掲示板文化からきた世代で、能登半島沖の不審船事案や西鉄バスジャック事件が起きた時、「テレビには出てこないディープな裏情報がネットにあるんじゃないか」と思って掲示板を見に行きました。でも、後から振り返れば、そこには全くのデマがまことしやかに書かれていただけでした。ネットにはテレビにはない真実がある、という感覚が僕の世代にはあると思っていて、これは結構危険なのではないかと。

:確かに、不安な時ほどすぐに飛びついてしまいがちですよね。

小泉:私たちが今すぐ不審船やバスジャックに対処しなければならないわけではないのですから、少し待って、情報が検証されてから「ああ、こういうことだったんだ」と考えればいい。無用な当事者意識を持たないということが、情報戦に対しては一番効く防御策になると思います。

ショート動画はファクトチェックが難しい

:私はSNSのプラットフォームによる違いも大きいと感じています。最近はテキストベースのXよりも、InstagramやTikTokのショート動画、Threadsなどのほうが、デマが多くて検証もされない印象です。ショート動画で「みんなが知らないことを解説します」と強く不安を煽るようなものもよく目にしますが、動画だと、テキストのようにすぐコピーしてAIでファクトチェックするというようなことが難しいため、検証の余地なくそのまま拡散されてしまいやすい。

Xは有象無象の発信者がいて、ともすると地獄のような言い合いが繰り広げられたりもしますが、極端なデマにはコミュニティノートがつくようになり、少しだけ自浄作用が働きやすくなっている気もします。

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【右派も左派も陥る「言論のジレンマ」】

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