住み込みでこの軌道工の仕事をするようになってから、彼の中で大きく意識が変わったと語ります。
「僕は、中学校の時にどうせプロにならないなら野球で上に行くのは意味ないと考えて、不良とか直接的に力があるようなポジションに行きたいと思っていました。でも、社会に出てみると、直接的に力を持つことに何の意味もないんだなと気づいたんです。
お金のない無力な時期を経験して、そこから社会の中で自分がどう立ち回っていくべきか、上がっていくべきかを考えるようになりました」
勉強の楽しさに目覚め、“医師”に興味が出てくる
医学部を目指すまでにはいくつかのステップがあったようです。
「最初は、紹介された軌道工の仕事をとにかくがむしゃらに頑張りました。すると、周囲が『あの若いのは結構いい』という雰囲気になってきて、バンバン仕事を振っていただいたりするようになりました。その中で会社の不動産事業部から『宅建の資格を取ってくれたらこっちで働いていいよ』と声をかけていただいたので『取ります』と二つ返事しました。
そこで久しぶりに勉強をしたんですが、今までが勉強してなさすぎたためか、逆に勉強が面白いと感じたんです。一般的に周囲の人はみんな勉強が嫌いだししたくないから、自分がしっかり勉強したら差別化できるなと思って」
勉強の面白さに目覚めた前田さんは、この時期から一気に勉強に力を入れるようになります。高3相当にあたる18歳の10月には無事資格試験に合格。同時期に会社を退職し、近所のブックオフに通って、いろんな本を読むようになりました。
「自己啓発本とか仕事図鑑とかを読んだりしていて、視野と選択肢の幅を広げ始めました。そこで、そのまま不動産業界で生きていくことも考えていたんですが、他の選択肢の中の一つに医者という道がふと出てきたんです。
医者になれば一定の社会的なステータスも得られて、かつ働き方も様々なので自由に生きられるなと。何より、人の人生に直接関わるような医者の仕事自体に興味がありました。そうなると、じゃあまずは高卒認定を取らなきゃなと思って、宅建をとってから子どもの頃に通っていたKUMONに通い直したり、ブックオフで参考書を買ったりしてみて高卒認定の対策を始めました」
こうして前田さんは宅建を取ってすぐの11月に英語・国語・数学で1回目の高卒認定試験を受け、2回目に受けた19歳の年の夏に、残りの科目をすべて受験して高卒認定資格を取ることができました。
勉強を始めたこの頃から、家族も徐々に応援してくれ
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【医学部受験に本腰を入れる】
