たとえば、わが家は2026年の年始にマレーシアのコタキナバルを旅しましたが、それを知った知人に「お子さんにオランウータンを見せたかったんですか?」と聞かれました。いいえ、ちがいます。登山好きの夫が、キナバル山に登りたかったからです(おい)。
もちろん子どもが「オランウータンが見たい!」と熱望すれば調整しますが、まあ見られたらいいかなの熱量なら、迷わず親の行きたい山を優先します。
もうひとつ、私にはいつか、子どもと行きたいと願っている旅先があります。それは、スペインの巡礼路「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」を歩く旅です。そのために、長男が生まれてから、旅の費用として15年計画で積立投資をしていますが、これも、子どもの教育のためなどではありません。
私が、その道を子どもと一緒に歩きたい。しかし、10キログラムのリュックを背負って毎日十数キロメートル歩くことは、幼児には無理です。そのため身体が成長したら付き合ってくれ、息子たち、という私のわがままな夢です。
でも、きっと、良いまなざし旅になりそうだと思いません?
お母さん・お父さんが、行きたいと伝えたその旅は、熱量が生まれる。子どもの心にも伝わっていきます。親の熱量が子どもを触発するのです。
逆に子どもたちが好きな漫画『ゴールデンカムイ』に影響されて、「北海道に行きたい!」から始まった旅の場合は、子どもの熱量に親が動かされます。
それぞれの好奇心が混ざり合う旅先を選ぶ。その上で旅をするから、観察力が育つ、その良い循環が回る旅先を選ぶことがまなざし旅のコツです。
・子どもの変化を目的にしない
・「子どもを楽しませてあげなきゃ」と気負わない
・旅先は親の「行きたい、見たい」も入れて選ぶ
1泊2日・日帰りでもできるまなざし旅
旅と聞くと、長期休みを取って、新幹線や飛行機に乗って……、というイメージを持つ方も多いかもしれません。いえいえ、まなざし旅に必要なのは、滞在時間や移動距離の長さではありません。むしろ、1泊2日でも、なんなら日帰りでも、まなざし旅はできます。距離よりも視点の変化です。
たとえば、自宅から電車で1時間離れた、郷土資料館×地元スーパー×その土地で有名な湧き水、こんな要素を組み合わせるだけでも、観察ポイントがたくさん出てきます。
わが家もよく週末旅や弾丸旅をしています。土曜の朝に出て1泊し、日曜夕方に帰るだけでも十分。たった36時間の旅でも、感覚はぐっと変わります。
新幹線で1時間、車で1時間、ほんのちょっとの遠出でも、知らない世界や刺激にあふれている。過ごす時間の長さよりも、過ごした時間の濃さが旅には大事な要素なのだと思います。
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【「遠くの海外より近くの国内」】
