また、日本整形外科学会、日本腰痛学会監修の『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』でも、腰痛の原因は1つではなく、生活動作・姿勢・筋緊張・心理的な要因などが重なって起こる多因子性の痛みであるとされています。(※2)
手術が必要となる特異的(特別異常がある)腰痛は、全体の中でごく一部ということがおわかりいただけたでしょうか?
痛み治療のガイドラインでも手術療法は「避けるべき」
治療の現場にいると、「骨や関節の手術をしたけど、痛みが改善しない」といった症例はよく聞きます。
手術は体にメスを入れるので、後戻りできません。痛みの原因が「筋組織ではない」という診断が出た後に、手術を行う選択肢があってもいいと思います。
その逆のケースもあります。手術適応の痛みのはずが対応が遅れて悪化したという話も耳にします。手術に踏み切る前に、「本当に手術が必要なのか? ほかの筋や軟部組織に問題があるのではないか?」といったことを判断する専門家が必要だと考えます。
手術したことでしびれ、痛みが改善した患者さんもたくさん見てきたので、手術を頭ごなしに否定するわけではありません。無駄な手術をしないですむ可能性があることだけは、覚えていてほしいと思います。
2021年、「慢性疼痛診療ガイドライン」が発表されました。改めて説明すると、慢性疼痛とは、3カ月以上続く痛みのことです。ここには治療法の推奨度と科学的根拠に応じた評価(エビデンスレベル)が示されています。
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【もっとも高く評価されている治療法が、「運動療法」】
