イギリスの鉄道「民営化後に再国営化」複雑な現状 新たな「国鉄」ロゴやデザイン発表、見た目が先行
GBRの構想が公に示されたのは、コロナ禍の最中である2021年だった。このとき政府が提示したのは単なる組織再編ではなく、1990年代後半の民営化以降に定着した鉄道の分断構造を見直す設計図だった。
イギリスの鉄道はインフラと列車運行を分けたいわゆる「上下分離方式」で、さらに運行については路線網ごとの「フランチャイズ」に分け、競争入札でその運営権を獲得した民間企業が一定期間の運営を担うという仕組みをとった。
この体制では運賃やダイヤ、投資判断もそれぞれ異なる主体が担う。民営化後、競争の活発化で鉄道の利用者数は戦後最多の水準にまで達した一方、責任の所在の分散や調整コストの増大を招いた。2018年には、インフラ管理側と運行側の連携が取れていなかったことで大規模なダイヤ混乱が起きた。

国営には「徐々に移行」
GBRは、こうした制度設計を見直し、インフラや運行など鉄道全体を一つの枠組みで扱う主体として構想された。当初、この新組織は23年に創設する予定とされていた。
では、それから4年半が経過した現在、いったいどこまで進んでいるのか。
前述の通り、25年末にはブランドイメージが発表されるなど「形」があるように見えるGBRだが、重要な点は、GBRはまだ「組織」としては存在していないということだ。そして、全国の全路線が何年何月をもって一気にGBRという新たな国鉄の運営に切り替わる、ということにもならない。
現在のイギリスを率いる労働党政権は、民間の運行会社との運営契約が終了した路線網から順次、公的管理へ移行させる方針をとっている。よって、すでに国営化されている路線が存在する。



















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