・このまま続けたら、資産が取り返しのつかないほど減るのではないか
・老後資金など、必要な時期までに必要な金額が用意できなくなるのではないか
・今売らないと、もっと損をしてしまうのではないか
たとえば、長期投資の途中で相場が大きく下落した局面を想像してみてください。
理論的には、十分に分散された株式投資であれば、時間をかけて回復する可能性が高いと説明されます。しかし実際には、多くの投資家が「このまま続けて本当に大丈夫なのか」「これ以上損をしたくない」という感情に強く揺さぶられます。
その結果、本来であれば保有を続けることで回復が期待できる局面にもかかわらず、不安に耐え切れず売却してしまうことがあります。これは、価格変動そのものが問題なのではなく、その変動に対して人がどう感じ、どう行動してしまうかが問題なのです。
このように、数値として測定されるリスクではなく、投資家の感情や心理的反応、行動のブレによって生じるリスクを「体感的リスク」と呼びます。
「自分自身の行動」そのものが最大のリスク
体感的リスクの本質は、「相場の変動」ではなく、「変動に直面したときに、自分の判断が揺らぐこと」にあります。
実際、行動経済学の分野では、人は利益よりも損失に強く反応し、同じ金額であっても「得る喜び」より「失う痛み」を大きく感じることが知られています。そのため、理論的には合理的でないタイミングで売買を行い、結果として長期的なリターンを損なってしまうケースが少なくありません。
また、実証データも、これを裏づけています。投資信託評価会社・モーニングスターの調査によれば、一般的な公募投信では、過去10年間において、投資信託そのものの平均リターンよりも、実際に投資家が得たリターンのほうが低くなる傾向が確認されています。
これは、多くの投資家が相場の上下に合わせて売買を繰り返し、「安く売って、高く買う」という行動を無意識に取ってしまった結果だと考えられています。
つまり、長期投資における最大のリスクは、市場そのものではなく、「自分自身の行動」である場合が少なくないのです。
次ページが続きます:
【どの程度の変動なら感情的に耐えられるのか】
