この価格変動の大きさは、感覚的なものではなく、理論的には数値で表すことができます。その代表的な指標が「標準偏差」です。
標準偏差とは、一定期間の平均的なリターンから、どの程度上下に振れているかを示す指標であり、値が大きいほど価格変動が激しく、「リスクが高い資産」と評価されます。
重要なのは、リスクが高いということは、「損をする可能性が高い」という意味ではない点です。リスクとはあくまで結果の振れ幅の大きさであり、上にも下にも大きく動く可能性を含んでいるということです。したがって、短期的には損失が生じることもあれば、大きな利益が得られることもあります。
投資の基本原則として、リスクとリターンは常に表裏一体の関係にあります。価格変動が小さく安定している資産は、結果の見通しが立てやすい反面、得られるリターンも限定的です。預貯金や債券がその典型例です。
一方で、価格変動が大きい資産は、短期的な損失リスクを伴う代わりに、長期的にはより高いリターンが期待されます。株式がこの代表です。
では、なぜこのような関係が成り立つのでしょうか。それは、投資家が引き受ける「不確実性」の大きさに理由があります。
将来の結果がある程度予測できる資産には、多くの投資家が安心して資金を投じるため、リターンは自然と低く抑えられます。逆に、将来の見通しが不確実で、結果の振れ幅が大きい資産には、その不確実性を引き受ける見返りとして、より高い期待リターンが求められるのです。
このように、リスクとは避けるべき「危険」ではなく、リターンを生み出すための前提条件ともいえます。
投資において重要なのは、リスクをゼロにすることではなく、自分がどの程度の変動を受け入れられるかを理解したうえで、適切に管理し、時間を味方につけて活用することなのです。
投資家が感じる「体感的リスク」
一方で、理論上定義されるリスクと、投資家が実際に感じるリスクは、必ずしも一致しません。
理論的なリスクは、「価格変動の大きさ」を客観的に測定したものですが、人が恐怖や不安を覚えるのは「振れ幅そのもの」ではありません。多くの人が本当に怖いのは、次のような結果です。
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【「これ以上損をしたくない」という感情】
