「八王子は消費センター」という自己評価と、素通りされた矛盾
しかし、同じ報告書に矛盾する数字が記載されていた。「八王子市民1人あたりの小売店販売高は、東京都全体の水準に対しては64%となり、非常に低く見える。都内でも足立区と比べると1.3倍になり、葛飾区に対しても1.1倍というようにいくらか高いが、近くの立川市と比べると55%、つまり半分強にしかならない」(p.46)とある。
実態として、八王子市民は立川の半分しか消費していないにもかかわらず、都内より少し高いからといって遠方の足立区・葛飾区と比較し、「消費センターとして、隣接地域の購買力をも吸引していることもある程度影響していると思われる」と結論づけていたのだ。
冒頭には「むしろ消費センター的色彩の濃厚な都市である」という評価も記されている。市は立川の半分しか売れていないという数字を記載しながら、「消費センター」という自己評価を下していた。この矛盾を抱えたまま、市の見通しが百貨店を引き寄せる呼び水になったのだ。
「消費センター」という自己評価だけでなく、百貨店を引き寄せた要因はもう一つあった。多摩ニュータウンの人口増加予測だ。業界誌『企業診断』(1971年)によると、大丸は「約100万人とみられる八王子商圏を土台に、多摩ニュータウン進展を横ににらみ」出店したという。



















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