松本:私にとって一番大きかったのは、年功序列の制限がとても少なかったことです。わが国における最大の差別は、私はジェンダーよりも年齢によるものだと思います。ご存じのとおり、もちろんアメリカにもコネなどは存在しますが、私のいた金融業界などはメリトクラシー(実力主義)の傾向が強かった。それが私に合っていたのだと思います。
――ただ、今こうしてお話ししていて、初めて気が付いたことがあります。ソロモンに勤めた後もいろいろな経験をしましたが、なんとかうまくやってこられたのは、結局は上司に恵まれていたからなのだということです。
ゴールドマンサックスにいたときも、アメリカ人の上司が私のことを理解して引き上げてくれたし、起業したときも、ソニーの出井さんが認めてサポートしてくださった。
いつもほかの誰かに助けられてきた
若いころの私は、自分の力以外のことに人生を左右されるのがリスクだと思って、実力主義の世界を選びました。でも振り返ってみれば、結局はいつも自分以外の誰かに助けられてきたのだと、今ふいに気が付きました。これは本当に、ほかでは話したことがない話です。
窪田:素晴らしいお話をありがとうございます。でもそれも、まず実力がおありだったからだと思います。やっぱり渡米して力を磨いたからこそ、上司や周りの人たちが松本さんを引き上げようと思ったのでは。
お人柄が愛されてということもあったのかもしれませんが、きちんと能力を評価されていたのは、すごく健全な組織構造であり上下関係だったのだと思います。上の方にとっても、きっといいコンビネーションだったのではないでしょうか。
松本:そう言っていただけるとうれしいです。
(構成:鈴木絢子)
