「現状」の認識がズレていた場合——競合の動向や社内の予算状況について、自分が知らない前提があったとします。それを知らないまま「打ち手」だけを作り込んでいたとすれば、見せた瞬間に「実は来期は予算が削られる予定なんだよ」「A社とは過去にトラブルがあってね」という情報が出てきて、根本から作り直しになります。
完成度が高くなるほど、このズレが発覚したときの手戻りコストは大きくなります。
粗いたたき台を早く出す理由
これに対して、粗いたたき台を早い段階から出して叩いてもらうアプローチは、この手戻りを最小限に抑えられます。
早い段階で見せることで、「期待する成果の設定はこれで合っているか」「現状の認識にズレはないか」を確認できます。ここで「方向性が違う」と言われても、まだ工数が少ない段階ですから、修正コストは圧倒的に小さい。
さらに重要なのは、早めにたたき台を見せることで、上司や関係者の頭の中にある「現状」の情報を引き出せることです。通常の業務データや資料からは読み取れない暗黙の前提――予算の変更予定、過去のトラブル、経営陣の方針転換――こうした情報を早い段階で引き出せれば、その後の「打ち手」の検討を正しい方向に集中できます。
チームの知恵をショートカットして活用できる。これが「早めに叩いてもらう」ことの本当の価値です。
ただし、「早く出せばいい」という話でもありません。粗さにも限度があります。
あまりにも見当違いのたたき台を見せられると、相手は「うーん、期待していたのと全然違うな……」と黙ってしまいます。どこからツッコんでいいのかわからず、全否定するようなコメントもしづらい。これでは議論が進まず、物事が前に進みません。
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【ボコボコに叩きがいのある「たたき台」とは】
