「あのとき、中止にしていれば」高校生ら8名死亡した那須雪崩事故で引率教員が"有罪"に…学校の安全管理に足りないもの

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控訴審も過失自体は一審と同様に認めたが、量刑の判断で結論が分かれた。では、なぜ分かれたのか。その理由は、三人の教員の当時の役割、過失の程度、結果との関係にある。

執行猶予が付かなかった教員は、雪崩事故に巻き込まれた先頭集団(1班)の指導に当たっており、事故発生時の雪面の状況等を自らの目で確認できる立場にあった。

仮に生徒の熱意に押された側面があったとしても、先頭集団を直接指導し、現場の状況を確認できる立場にあった点などが、実刑維持の判断に影響したとみられる。

教員個人に「刑事責任」が問われる重さ

この判決は教育現場に大きな衝撃を与えるものであった。学校現場では一定の危険を伴う活動が日常的に行われている。部活動だけでなく体育の授業や校外学習、自然体験活動などでも事故の危険は常に存在する。

本件判決は、生命身体の安全を守る責任が教員に重く課されていることを示したものと評価できる。

他方で、教育活動における教員の判断が結果として重大事故につながった場合、刑事責任という形で教員個人に責任が問われる可能性があることも明らかにした。この点が多くの教員に戸惑いをもたらしている。

本来、学校における教育活動は個々の教員の判断ではなく、組織の下で展開されている。部活動のあり方や安全管理、研修や専門的知識の共有など、組織としての安全管理の問題が大きい。

次ページ個人の注意義務と組織の安全管理のジレンマ
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