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寿司ネタの危機「天然魚の漁獲量減少」を救う秘策――進む"未利用魚・低利用魚の活用"や"代替魚肉・培養魚肉"の現状

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市場に並ぶ魚
私たちが日常的に消費している魚は、わずか30種ほどだといいます(写真:Ayleeds/PIXTA)
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さらに、日本最大級の回転寿司チェーン「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIESは、アメリカの培養魚肉スタートアップBlueNalu社と提携を結んだことが報じられています。

このように、培養魚肉は寿司ネタの今後を変えうる可能性を持っています。

しかし、技術そのものだけでは市場をつかむとは限りません。安全・安心なのはもちろん、「寿司ネタとして使いやすい形」「寿司店が選びたくなる価格帯」「消費者がうまいと感じる味わい」を実現できるかどうかに、今後広まるか否かが、かかっているのです。

安定生産・供給については、特に養殖魚がその役割を担ってきましたが、培養魚肉はそれをさらに進化させる可能性を秘めています。

例えば、「消費者が求める部位に特化して供給ができる」「安全性(重金属、マイクロプラスチック、抗生物質などの懸念が少ない)」などが付加価値となり得ます。

実際、Wildtype社の培養サーモンは「寿司・刺身用途(sushi-grade)」として設計されており、寿司文化とも親和性が高いことが報じられています。

話は変わって、魚肉の代替品としては、菌類由来のマイコプロテインも注目されています。日本国内でも、例えば麹菌をベースにしたマイコプロテインを開発するスタートアップが試食会を開催しています。

こうした新たなタンパク源は、“魚の代替”あるいは“魚と融合した新たなネタ”の可能性を秘めています。こういった代替魚肉は、魚介という領域をさらに広げる選択肢として、寿司業界にとっても興味深い話です。

天然魚や養殖魚の「強み」とは

もちろん、培養魚肉や代替魚肉は万能ではありません。

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高級寿司店では、長年にわたり天然魚の“旬”“個体差”“産地背景”が評価されてきました。こういった点は、培養魚肉や代替肉にはなく、天然魚の強みは今後も残り続けるでしょう。また、さまざまな魚種を楽しめるという点も天然魚ならではでしょう。

一方、養殖魚は近年、安定供給に加えて、味、食感、安全性が増しています。この点は、培養魚肉や代替魚肉でも兼ね備えられますが、養殖は丸々1匹の魚をつくり出すという点が違います。

つまりは、尾頭付きの魚を楽しむ、さまざまな部位を楽しむという点では培養魚肉や代替魚肉と比較をしても養殖に軍配が上がるのです。

とはいえ、培養魚肉や代替魚肉は、特定の部位を大量生産できたり、新たな味わいの魚肉をつくり出したりと、ならではのものも持っています。天然と養殖の寿司ネタの補完にとどまらず、寿司という文化を、次のステージに進める原動力にもなりえるといえるでしょう。

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