習近平は「現代の雍正帝」なのか? 舛添要一が読み解く "粛清と独裁"の構造、「善意にあふれた悪意の政治」とその限界

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習近平
2025年10月、中国国防省は軍幹部9人を処分。習近平国家主席(右)の「側近」と目されていた何衛東・中央軍事委員会前副主席も失脚した(写真:ロイター/アフロ)
かつて清朝第5代皇帝・雍正帝は、朝廷の派閥を解消し、不満を抱く皇子を監禁し、最有力大臣を粛清した。絶対的な権力を一身に集め、1日の睡眠時間は4時間に満たなかったという。その統治はわずか13年で終わった。
習近平がトップの座に就いたのは2012年。すでに雍正帝の統治期間を超えた。外交部長、国防部長、人民解放軍高級幹部9人――習近平は縁の深い福建閥の将軍たちさえ情け容赦なく失脚させている。その姿はまさに「現代の雍正帝」だ。なぜ独裁は続くのか。その限界はどこにあるのか。中国近代史を知り尽くす筆者・舛添要一氏が解説する。
※本稿は『中国の逆襲──習近平の戦略』から一部抜粋しています。

習近平は盤石の支配体制を整えた。その態様はマルクス・レーニン主義に基づく独裁という違いはあるが、近代中国の皇帝独裁政治に似ている。また、過去100年の中国近代史を振り返ると、「愚民を支配する賢人」というエリート主義が濃厚である。習近平政治もその典型だが、国民の知的レベルが向上してきた今日、その統治はどうなるのか。

清朝 雍正帝とよく似た独裁構造

古代以来、中国では専制君主による独裁が清朝末期まで続いてきた。辛亥革命から国共内戦、日中戦争と続く混乱ののち、1949年に中華人民共和国が建国されたが、この共産党政権下でも、同じような専制君主による独裁が続いていると見てよい。

共産党政権を指揮する「現代の皇帝」は、マルクス・レーニン主義に基づく「中国の特色ある社会主義」を推進しているが、政治手法については、近代史に登場した専制君主とあまり変わりがない。その代表的な独裁者が、清の第5代皇帝である雍正帝である。中国史の泰斗・宮崎市定の著作から引用してみよう。

宮崎は、「皇帝独裁政治は中国で宋以後に発達した特殊な政体であって、これは古代の専制君主とは性質を異にする。むしろ君主政治としては最高の理想とも言うべきもので、中国においてはおそらく雍正帝において最もよく具現されたと見られる」(宮崎市定著、礪波護編『中国史の名君と宰相』、中公文庫、2011年、46頁)と認識している。

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