理解不足でいじめも「食物アレルギー」増える実態――「食べられないは、わがままじゃない」小学校の出前授業を取材
なぜ感作が起こるのか、どんな人が食物アレルギーを発症しやすいのかは、まだ十分に解明されていない。そのため、現時点ではまだ治療法はなく、医師の指導のもと、原因となる食品を避けることが基本だ。
「いじめ」の実態調査
冒頭でも述べたように、食物アレルギーはときにからかいやいじめのきっかけになることもある。
医学誌に発表された調査では、昭和大学医学部小児科(当時)の医師らが66人の食物アレルギーの児童にアンケートを実施。その結果、生涯を通じて何らかのいじめなどを経験していた児童が53%と、約半数にのぼった。
いじめの内容は「からかう、悪口」がもっとも多く、「仲間外れ、無視、陰口」などもあった。なかには、アレルゲンを食べさせたり、アレルゲンに触れさせたりするケースも。こうした行為は特に危険で、重大事故につながるおそれもある。
実は、同じような研究は、海外からも報告されている。
鈴木さんは、「背景には“違い”に対する理解不足がある」と指摘する。
「食物アレルギーに限らず、病気や体質の違いを理解する多様性の視点が大切。家庭での会話や学校の授業を通じて、困っている人にどう配慮するかを学ぶ機会をつくることが重要といえるでしょう」
集団で一緒にとる給食は単なる栄養補給ではなく、子どもにとっての社会的な体験であり、仲間づくりの場でもある。だからこそ見た目への配慮も大事だという。
鈴木さんによると、食事の見た目に違いが出ると、それがきっかけで子ども同士の関係に影響することもありえるという。食べられない一部のメニューのみを取り除ける、もしくは代替品を用意する、といった見た目の違いをできるだけ減らすことは、小中学生の子どもにとっては重要だ。
「除去食でも見た目を近づけたものを提供する、給食と似たメニューの“コピー”弁当を持参する(注:事前に学校に届け出が必要であることが多い)などの方法もありますが、作り手の負担は大きい。食の満足度や仲間たちとの共感を減らさないようにしながら、安全を確保する取り組みが大切になります」(鈴木さん)
さらに知っておきたいのは、食物アレルギーは子どもだけの病気ではないという点だ。海外の研究では、「成人患者の約半数が、大人になってから発症している」という驚きの報告もある。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら