トランプ・高市首脳会談は本当に「大成功」だったのか? 11兆円の"手土産"でも埋まらないアメリカとの「深い溝」

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日本は1991年の湾岸戦争で総額約130億ドルを拠出した。また、2003年のイラク戦争では復興資金として50億ドル拠出したほか、JICA(国際協力機構)を通じた技術や人材育成などを行い、04年から09年までインフラ整備や医療支援などのために自衛隊を派遣した。

14年には、①密接な関係にある他国が武力攻撃を受け、国民の生命や権利が脅かされる明白な危険があること、②国民を守るためにほかに適当な手段がないこと、③行使する実力は必要最小限度であることの3要件を満たせば、限定的に集団的自衛権を認める閣議決定が下された。それを元に翌15年に安全保障法制が制定されたが、今回のイラン攻撃に対処できるものではない。

このことを伝えるために高市首相がアメリカに向かう機上で寝ずに考えたというのが、「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」のフレーズだ。表面上はトランプ大統領を持ち上げてみせてはいるが、「いい加減、攻撃は止めろ」という意味を含む。

しかし含意は伝わらず、トランプ大統領は日米首脳会談後の21日に「48時間以内にホルムズ海峡を完全開放しなければ、イランの発電所を爆撃する」と宣言。イランは「攻撃を受ければ、ホルムズ海峡を完全封鎖する」と対応した。一歩も引かないイランに対し、トランプ大統領は発電所爆撃を猶予せざるをえない状態だ。

思惑がすれ違う日米首脳会談の実態

そもそも、トランプ大統領はイラン攻撃に積極的ではなかったといわれているが、娘婿のジャレッド・クシュナー氏がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に非常に近く、イスラエルはイランと敵対中という事情がある。

ネタニヤフ首相はイスラエル国内で贈賄、詐欺、背任の罪で裁判にかけられており、昨年11月にはイツハク・ヘルツォーク大統領に恩赦を申請。法的責任を免れようとして、イラン攻撃を企てたという話がある。NATO諸国が協力する姿勢を示さないのは、そうした事情ゆえだろう。

探査船「ちきゅう」
南鳥島沖でレアアース泥の試掘を行った探査船「ちきゅう」(写真:ロイター/アフロ)

しかし、日本は飛び込んだ。発端は、昨年11月の衆議院予算委員会での高市首相の「台湾有事発言」だ。これにより、日中関係は一気に悪化した。

なんとしてもアメリカの助力がほしい。だから先日、南鳥島沖で発見されたレアアースの共同開発など11兆円にのぼる経済協力を、日米首脳会談に「お土産」として持参した。

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