NTTドコモFOMA終了で3G完全停波、ガラケー依存の高齢者が直面するスマホ移行の壁と社会インフラの分断

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「MIVE ケースマ」は年配者が慣れ親しんだ10キーを搭載しており、本体を折りたためば誤操作も防止できる。中身はAndroidスマホなので、LINEなどのSNSアプリや、QRコード決済にも対応する。本体サイズは従来のガラケーより若干大きいものの、4.3インチの大きな画面はメッセージの文字も読みやすく、写真もきれいに表示してくれる。

MIVE ケースマ
ガラケー型スマホ「MIVE ケースマ」(筆者撮影)

デジタル社会における包摂力

この「MIVE ケースマ」は韓国では通信キャリアの店舗で販売されている。つまり通信キャリアとしても、非スマホユーザーである高齢者に対し、使いやすい端末を提供するという社会的な役割を意識しながら10キー付きスマホを扱っていると言える。

SNSの設定など高齢者にとって難しい操作も、キャリアの店舗ならサポートしてくれるわけだ。この姿勢は日本のキャリアもぜひ取り入れてほしいものである。

ガラケーからフルタッチのスマホへと一足飛びに移るのは、多くの高齢者にとって大きな不安がつきまとう。ALTの「MIVE ケースマ」のような10キー付きスマホは市場全体の出荷台数から見れば数%程度のニッチな存在かもしれない。

しかしそのごく少数のユーザーにとって、ガラケーと同じ感覚で操作でき、なおかつスマホのアプリやキャッシュレス決済にもアクセスできる端末が、日常生活を支える「命綱」となりうるのだ。

スマホが前提の社会になったとはいえ、誰もがそれを違和感なく使いこなせるわけではない。残された数%のユーザーが無理なくデジタル社会に参加し続けられるようにすること、それは単なる「弱者対応」ではなく、社会全体の包摂力を問うテーマでもあるはずだ。

通信キャリアと端末メーカーは、高齢者が「スマホ時代」に無理なくなじみ、安心して使い続けていけるようにするにはどうすべきかという問いに対し、10キー付きスマホのような選択肢も含め、改めて真剣に向き合う必要があるだろう。

山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事